前回の記事で亡命中のカイザーの動向について書きましたので、
それに関連して今回はもっと気楽な記事を書いてみたいと思います。
今回書くのは「ヴィルヘルム2世最後の地・ドールン観光レポ」です。
なるべく正確な情報を記すよう心がけていますが、
筆者のヨーロッパ旅行(2014年夏)での体験をもとにしているので
最新の情報は各自ご確認いただけると幸いです。
①カイザーのオランダ亡命について
ドイツ皇帝ヴィルヘルム2世は1918年11月、
最高司令部の置かれていたベルギー・スパからオランダへと亡命しました。
彼はその後ドイツに戻ることはなく、
オランダ・ユトレヒト州にある屋敷で家族や侍従に囲まれて過ごし、
第二次世界大戦の最中、1941年6月に亡くなりました。
ユトレヒトはオランダの中央部にある州。
ユトレヒト州には33の基礎自治体(Gemeenteヘメーンテ)があり、
そのうちドールン(Doorn)とアメロンゲン(Amerongen)に
ヴィルヘルム2世が亡命後住んでいた屋敷があります。
②アクセス方法
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日本からは関空と成田からオランダ・スキポール空港へ直行便が出ています。
スキポール空港からドールンまでは所要時間1時間強ほどです。
オランダの交通機関の切符は全て
OVチップカードというICカードで兼ねられているのですが、
2、3日程度の滞在ならそれを買わずに普通の切符を買った方がお手軽です。
アムステルダム駅とスキポール空港駅でなら券売機でクレジットカードが使えます
(他の駅では硬貨しか使えない模様)。
スキポール空港は鉄道駅に直接繋がっており、交通の便がとても良いです。
主要都市間を走っているInterCityという快速列車の
ナイメーヘン(Nijmegen)行きに乗り、
ドリーベルゲン(Driebergen-Zeist)駅へ向かいます。
途中ユトレヒト中央駅を通過するので、
カイザー最期の地を訪れるのと同時に
ミッフィー生誕の地を楽しむのもいいかもしれませんね。
オランダ鉄道の公式サイトでルート検索ができます。
(英語に切り替え可能)
Driebergen-Zeist駅で下車したらバスに乗ります。
50番か56番のバスに乗り、15分ほど走れば
Huis Doorn(ドールン城)のバス亭に到着です!
バスでは、乗車時に直接運転手から切符を買うことができます。
○○までの切符が欲しいと言えば薄い紙の切符を売ってくれます。
オランダはまず間違いなく英語が通じるし、
私のガバガバイングリッシュでも通じたので恐れないで欲しい。
カイザー関連の史跡のガイドさんだとドイツ語も通じました。
56番のバスに乗った場合、
降りるバス亭はDoorn,CentrumではなくHuis Doornです!
こっちの方が入場チケット売り場(ミュージアムショップ併設)に近いです。
50番のバスに乗った場合Huis Doornに停車しないので
Doorn,Centrumで下車になりますが、少しチケットセンターから遠いです。
Centrumで下車した場合、
モダンな建物(調べたところ銀行だそうです)の横を通り過ぎ、
古めかしい門をくぐると、レンガに囲まれたドールン城の庭に入ります。
(人気がなさすぎて最初わからなかった)
少し歩くと右手にドールン城が見えるのですが、
チケット売り場は反対側にある守衛詰め所にあるので注意です。
私はそれを知らずに直接城へ向かってしまいました……
(ありがたいことにその場でチケット代を払うことで入場させて頂けたのですが)
Centrumで降りたら、ぐるっと庭の外の道路を回って
チケット売り場へ行った方がいいですね。
ここがドールン敷地内への正面入り口。奥にドールン城が見えている。
手前のレンガの建物 はチケット売り場兼ミュージアムショップ。
③ドールン城について
1920年に、同じくユトレヒトにあるアメロンゲン城から移動した後、
1941年に亡くなるまでずっとカイザーが住んでいたお屋敷です。
庭には厳めしい表情をしたカイザーの胸像、カイザーの霊廟、
愛犬たちのお墓があります。
通常は解説ツアーの形でしか屋敷内部を見学できないのですが、
第1・第3日曜日だけは自由に城内を回ることができます。
なので第3日曜を狙って行きました。
もう全てがカイザーです。
カイザーに関する解説、装飾品、勲章、軍装、お風呂、バスローブがあります。
(ただ、軍装に関しては所蔵しているもののほんの一部しか展示はしてありません)
私が行ったときは軍服ではなくセーターが置いてあって可愛かったです。
ドイツ国内でこんなにヴィルヘルム2世を全面に出した宮殿はありませんから、
カイザーファンにとっては夢のようなところでした。
左手を使うことのできないカイザーのために作られた、
ナイフとフォークが合体した食器具なんかも展示されています。
皇后アウグステ・ヴィクリアの寝室や二人目の后ヘルミーネのサロンなど、
カイザーの配偶者についての展示もたっぷりあります。
カイザーが鳩にエサをやっている写真でよく見る、ドールン城の正面階段。
ゲーリングがここから降りて行く写真もありますよね。
鳥にエサをやるカイザー:
File:Bundesarchiv Bild 102-11797, Doorn, Wilhelm II. beim Entenfüttern.jpg - Wikimedia Commons
ドールン城は内部撮影禁止なのですが、
そのぶん公式サイトで室内が360°見渡せるようになっているのでお勧めです。
壁に飾られた絵画の解説もついており便利。
Museum Huis Doorn公式サイト(オランダ語・ドイツ語・英語に対応)
上記のサイトで開館情報がチェックできますが、
月曜と火曜は閉館しているので旅行の計画を立てる際は注意。
開館時間は平日が13時~17時、土日が12時~17時です。
大人の入場料は12€。
カイザーのモノグラムが入ったグッズや
カイザーに関連する書籍が売られているミュージアムショップもありますし、
オランダとWW1について展示されたパビリオン(屋敷とのコンビチケットも有)
もあるので、いろいろ楽しめます。
④おまけ・アメロンゲン城
冒頭で書いたように、1920年にドールンへ引っ越す前のカイザーは
すぐ近くのアメロンゲン城に住んでいました。
公式サイト: Kasteel Amerongen, Het Kasteel
こちらもドールンと同じくDriebergen-Zeist駅から50番のバスに乗り、
Amerongen, Dorpというバス亭で下車します。
バス亭から少し歩くので地図上で位置をしっかり確認しておいたほうがいいですね。
(道路と住宅街以外に何もない感じの場所にあるバス亭だったので、
私は彷徨いながらなんとか城に着きました)
一度フランスによる侵略戦争で1673年に破壊されましたが、建て直され、
現在の形になりました。
ベンティンク伯爵の所有であったこの城に、カイザーは
1918年から1920年まで「賓客」という形で滞在しています。
後にベンティンク伯爵の子孫がこの城を売却し、
1982年からはStiftung "Kasteel Amerongen"(アメロンゲン城財団)が所有しています。
カイザーの書斎机!
この城は財団のプロジェクトによってピアノ演奏があったり
当時の衣装を着たパフォーマー?のような人がいたり、
知名度や規模はドールン以下のはずなのになんとなく賑やかでした。
こっちは写真撮影可だったのでいろいろ撮れて楽しかったです。
入場料はドールン城と同じく12€です。
入場すると、間取りと各部屋の解説が入ったボードを貸してもらえます。
⑤最後に
ドールンはスキポール空港からもアクセスしやすいですし、
主要都市ユトレヒトの近くなので、(ヨーロッパに行くお金と時間さえ確保できれば)
そこまで難易度は高くないかなと思いました。
ぜひカイザーファンの皆さんに訪問していただきたい場所です。
少しでもご旅行の参考になれば幸いです。
(2014年末の冬コミで出した旅行レポの一部を加筆・訂正して記事にしています)